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看護連盟NEWS

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2019.11.18

自民党「人生100年時代戦略本部」がヒアリング(3)

(3)質問への回答

<堀 三菱総研 政策・経済研究センター長>

 医療費控除について、セルフ・メディケーションは予防と関連するので(残して)いいと思うが、他の部分は検討すべきだ。若い世代のファストパスは一案だが、いろいろ検討を要する。

 定額負担については、受診抑制の側面もあるが、賢い受診を促す効果もある。予防のインセンティブは大切だが、予防しても病気になる人はゼロにはならない。保険給付の中にインセンティブを加えるのは慎重にすべきだ。公的な財源だけでカバーするのではなく、民間の資金を活用する方法も考えられるのではないか。

 ヘルスリテラシーは重要だが、概して健康で経済的に余裕のある人がヘルスリテラシーは高い。むしろ、経済的に困窮している人のヘルスリテラシーを向上させる環境づくりが大切だ。この点からも国民皆保険の堅持は大切だ。

 地域医療については、給付と負担ありきではなく、日本の医療のあるべき姿を議論をすべきだ。ただし、2020年から団塊世代が後期高齢者になるということは、今までと問題の質が違う。短期的にすべきことと中長期的に取り組むべきこと分けて考えるべきだ。頻回受診については、ヘルスリテラシーと関連するが、頻回に受診するのが患者にとってよいことなのか慎重に調べるべきだ。医療サービスの価格弾力性だが、受診行動が自分自身の需要にそったものなのかそうでないか、場合によって違う。高度医療でなければ、おそらく患者1人あたりの単価はそう変わらないと思う。

 医療費の西高東低は、戦後からずっと続いている。この地域差を縮めるためにも、地域医療構想は重要と考える。もちろん、地域によって疾病構造も人口の構成なども異なるので、将来的には、それぞれの地域にあった医療提供体制をつくっていくようになってほしい。

 健康寿命の延伸で医療費も増えるという点だが、それ以前に健康寿命という指標の見直しが必要と考えている。終末期医療は国民的議論が必要だろう。高齢者負担が1割から2割になるという議論だが、団塊の世代が74歳になった時点ですでに2割負担になってるいる。そのまま2割負担を維持するので、負担が倍増するということではない。

<齋藤 日本看護協会副会長>

 頻回の受診や長時間の待ち時間の解消に、看護職の活用を進めていただきたい。看護外来や療養相談室を設けている事例を紹介したが、それらは外来の待ち時間を利用して実施している。このような取り組みを広げることも効果がある。また、ナース・プラクティショナーの創設も、これらの問題に貢献できると考えている。ナース・プラクティショナーの養成については、欧米等では2年間の大学院教育で行われている。日本でも看護系の大学は270校を超え、かなり充実をしてきているので、希望する人が行ける道が開けるのではないか。

<武田 東海大学健康学部長>

 医療費控除については、そのあり方も検討の一つではあるが、能力に応じた負担は別途考えていくべきだ。長時間の外来待ち時間については、真の受診負担にならない定額負担額を探っていくのがいいと考える。人生100年時代の医療体制はどうあるべきかをまず議論すべきだ。

 また、1割・2割負担だが、1割の人を2割にするということではない。厚労省が窓口負担感のアンケート調査を行なっているが、高齢者になるほど負担感は少ないと答えている。大きなリスクの場合は、高額医療費制度がカバーしている。いずれにせよ、小さなリスクは自助で、大きなリスクは公助で、というのがいいと考える。

(4)岸田文雄本部長の結びの言葉

岸田文雄本部長

 4回にわたって、ヒアリングを行った。本部では年末に向けて中間整理を行なっていきたいと考えている。これまでの議論の中で、大事なこととして、一つは議論の継続性の問題。この本部でもこれまでに提言を行ってきている。平成29年から毎年積み重ねてきた議論を大事にしていきたい。

 それから、時間軸を整理する必要がある。すぐに取り掛からねばならない課題もあるし、中長期的に取り組まなければならない課題もある。また、同時にいっぺんに取り掛かる課題もあれば、順番を追って取り掛かる課題もある。

 もう一つ、さまざまなデータを皆さんから出していただいたが、この他にも緻密なデータが必要なのではないかと感じている。例えば、高齢者の自己負担の割合の問題。これまでにも賛否両論があった。これが高齢者の生活にどれくらいの影響が出てくるのか。また、財政にどれだけの影響が出てくるのか。もう少し緻密なデータを前にして議論する必要があると感じている。

 このような点から、宮下一郎内閣府副大臣に2つお願いがある。一つは全世代型の社会保障の取り組みを進めるにあたって、年末までに整理すべきこと、来年の夏までに整理すべきこと、そして中長期的な課題として取り組むべきことを、政府はどのうように考えているか、是非お示しいただきたい。

 もう一つは、データだが、高齢者の自己負担の問題、受診時の定額制の話、厚生年金の適用の拡大の話。この辺りは、かなり意見の隔たりがあった。こうした課題については、所得別や疾病別にどのような影響が出るのか、しっかり詰めていく必要がある。こうした緻密なデータや選択肢を、政府として11月中旬までに、ご提示いただきたい。

 

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