ベッドサイドから政治を変える!日本看護連盟

会長のマンスリーメッセージ

会長マンスリー
2020.10

「正義中毒」に陥らないようにするには

感染防止と経済活動の両立がテーマで始まったGo Toトラベル事業は、感染拡大の現状から先行きが霞んでいます。

二次補正予算では、医療関係に5兆円が使われることになりました。看護職や介護職の慰労金もその一つです。37の都道府県においては、危険手当も支給されることが決まりつつ、未だに支給されていない現状もあり、悲しい限りです。当初、声高に発言していた知事さんの中には、財政困難のため、財源をクラウドファンディングに依存する動きも見えています。既に危険手当と慰労金を受け取った看護職には、経済活動に活かしてゆくことを最優先にお願いしたいものの、県外に出ることが許されず、友人と食事することも思うに任せない現実があります。なかなか思うようにはいかないものです。

来月には6月から延期された総会を、リモートを含め開催する予定です。新しいスローガンに表されているように、未来に向かって、看護の声が届けられる総会になることを祈るばかりです。

マスクをしているのが当たり前となった日常。たまにしていない人がいると違和感を覚えるものです。と感じつつ、マスクを忘れて外出した自分の体験から、違和感を覚えた方に同情的になり、予備のマスクを探したりして笑ってしまいます。

コロナ禍で耳にした自粛警察とは、自分が絶対正しい!と他者を攻撃する行動でしょうか。ひたすら看護をしてきたにもかかわらず誹謗中傷に苦しめられた看護職として、そんな社会現象にモノ申してみたいとも思いましたが、それが、脳のなせる業と知り、気持ちが変わりました。

ある連盟会長との会話で「正義中毒」という言葉を知り、脳科学者の中野信子氏の『人は、なぜ他人を許せないのか?』を読んでみました。それによると自分と異なる考えや意見や行動を理解できず、許せないと感じてしまう「正義中毒」は、脳に備わった仕組みであり、誰しもが陥る可能性のあることだということです。「許せない」感情は本人にとってつらく苦しいことでもあり、そうさせる脳のしくみを知ることが脱出の第一歩であると言います。誰にとっても起こりうるこの感情を客観的に見つめなおすことで、多様性を認められる自分や社会へとつながっていくはずと中野氏は言っています。

人間は、身体的弱さをカバーするために、集団をつくって進化してきました。安全性や生活の効率を高めるためには集団の持続が必須で、そのため、人は自分が属する集団以外を受け入れず攻撃するようにできています。自分たちの掲げる正義の基準にそぐわない人を「悪人」として叩くと、脳内でドーパミンが分泌され快楽が生まれます。そのため、誰かを叩けば叩くほど気持ちがよくなり、止められなくなるそうです。また、自分が属する集団の仲間がよいと感じる「内集団バイアス」をもつため、他の集団を丁寧に判断せずひとくくりにして悪いレッテルを貼ってしまいます。日本では、多発する地震や台風などの自然災害から身を護るため、長い年月をかけて集団主義が強まり、同質であることが前提とされ、違っている人が「愚かな人」として叩かれる傾向が強いそうです。異なる意見を持つ者の間で、なかなか本質的な議論にならず、すぐに互いの人格攻撃になってしまいがちなのは、脳に由来するからなのです。

心穏やかに過ごすヒントをいただいた気がしました。

会長のマンスリー
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