会長のマンスリーメッセージ

会長マンスリー
2019.11

本当に必要な地域医療構想へ向けて

会員の皆様、こんにちは。

9月26日の新聞報道で、1,652ある公立・公的病院の424施設について「再編統合について特に議論が必要」と、国が病院名を公表しました。

厚生労働省の医療計画の見直し等に関する検討会の中に設置された「第24回地域医療構想に関するワーキンググループ」で、2017年の実績をもとに、がんや救急など高度な医療の診療実績が少なく、近隣に機能を代替できる民間病院があるなど、非効率な医療をしていると判断した病院のデータを公開したものです。

今後、ベッド数や診療機能の縮小なども含む再編を地域で検討し、2020年9月までに対応策を決めるよう求めています。

国は2025年に必要なベッド数を、現在の124万床を119万床に削減するためにも病院の再編や統合を進めたいようです。

さらに公立病院の中には赤字経営に苦しむところも多く、自治体からの繰入金は総額で年間8,000億円に上っているといわれており、繰入金の削減にもつなげていきたいというわけです。

公表された病院の中には、すでに再編や統合をしている病院も含まれているということですが、多くの看護職は驚かれたことと思います。公立病院・公的病院の改革が優先されているのは、それらが補助金や税負担などで手厚い優遇措置を受けているからです。

特に公立病院では自治体など他会計からの繰入金があり、さらに法人税(国税)や事業税(地方税)なども非課税です。しかしながら、公立病院の役割が優遇措置のない民間病院では担えない医療分野に重点化されているということもあり、簡単に再編や統合が進めるわけにはいかないでしょう。

わが国は、団塊の世代が後期高齢者になる2025年に向かって、地域医療構想の実現を地域医療調整会議(トップは知事)で実現しようとしていますが、なかなか進まないので厚労省が業を煮やして病院名の公表に踏み切ったのでしょう。

一部の病院では「うちの病院がなくなるのでは!」と、看護部長や中堅看護師が不安定になっているとも聞きます。「この病院が、この地域の最後の砦!」という病院も入っているとも聞こえてきます。

各都道府県の連盟会長の皆さんは「再編統合」という言葉に踊らされることなく、リストの病院がすべてなくなる、といった間違った見方が先行しないように、この機会を逃さず、しっかりと臨床の看護職の話を聴き、支えていただきたいと思います。

そして本当に住民に必要な地域医療構想の協議・実現に向けて、行動してほしいと考えます。

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