ベッドサイドから政治を変える!日本看護連盟

会長のマンスリーメッセージ

会長マンスリー
2019.05

インフォームドコンセント(説明と同意)

 1964年の世界医師会総会において採択されたヘルシンキ宣言で、初めて取り上げられたインフォームドコンセント(説明と同意)については、すでに、日常診療の中で定着化が図られつつあるが、人工透析の中止を巡る最近の事例の報道に触れ、改めて実効的な徹底を図ることの重要性を強く感じている。

 インフォームドコンセントは、患者は、医師等から診療内容などについて十分な説明を受け、十分に理解した上で、患者自身が同意の上で、最終的な診療方法を選択することであり、医療法第一条四の2には「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」として看護師のインフォームドコンセントにおける役割が明示されている。

 診療現場では、医療行為の実施に先立ち、患者さんに対して診療(検査や治療)についての説明を行い、説明したことの記録および患者さんの「同意書」をいただくことが日常的になっている。患者さんに対する説明の内容としては、病名、病状、医療行為の必要性、内容、期間、危険性・副作用、予測される結果、 代替可能な医療行為の有無と内容、これらを実施しなかった場合に予測される結果等があげられる。しかし、医療従事者の時間的な制約、医療技術等の急速な開発・高度化、患者の高齢化等が進む現状の中で、自分に対して行われる診療行為を十分に理解しようとせずに「お任せします」と署名をする患者さんが少なからずいることも現状である。

 実効的なインフォームドコンセントを徹底させるためには、患者にとって最も身近な、信頼される存在であることを自負して活動している看護師に、患者の疑問・不安に丁寧に説明でき、応えられるスキルを修得していくことが求められる。最新の医学的な知識も修得した大学院修士課程で養成されている診療看護師(ナースプラクティショナー)は、患者さん達から「何度でも質問することができ」「難しい診断や治療を分かりやすく説明してもらえた」と評価されており、実質的なインフォームドコンセントを徹底する上で、重要な存在であると期待している。インフォームドコンセントの徹底には、患者さんに対する教育も不可欠であり、診療看護師(ナースプラクティショナー)は、臨床の場において、この役割も果たすことができると考えている。

 日本の放射線診断に伴う患者さんの被ばく(医療被ばくという)線量が、世界全体の平均に比べて約6倍も高いことが課題になっており、日本の医療被ばくの低減を図るためには、放射線診断を実施するかどうかの判断(これを「正当化の判断」という)が極めて重要であるとされている。「正当化の判断」は、まさにインフォームドコンセントの下で行われるべきであるが、放射線診断の適用は、医師の判断であると誤解されている向きもあり、実際に、医師の判断で行われている場合が多い。放射線防護・安全に関わってきた者の一人としてパターナリズムからの脱却が必要であることを痛感している。

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