会長のマンスリーメッセージ
会長マンスリー「看護の未来につなげるために何をすべきか?」
〈草間朋子・日本看護連盟顧問のナイチンゲール記章授章〉
日本看護連盟の草間朋子顧問が第49回フローレンス・ナイチンゲール記章を受章されました。
フローレンス・ナイチンゲール記章は、顕著な功績のある世界各国の看護師を顕彰し、授与するもので、赤十字国際委員会(ICRC)から受章者が発表されています。このたびは22の国と地域から、特に優れた37名の方に授与され、日本の受章者は草間朋子顧問、髙原美貴氏、今村節子氏の3人の方でした。第1回(1920年)から第49回(2023年)までに1,580人の方が受章され、その中では日本人が115人と一番多く受章されています。
今回受章された草間顧問は、放射線防護と安全に関する専門知識と指導力により世界で活躍されました。日本においては2011年の福島第一原子力発電所事故を機に、一般社団法人日本放射線看護学会を立ち上げるとともに、放射線看護を国際的に拡大していく活動を展開されました。また、原子力災害支援保健チームNuHAT(Nuclear disaster Healthcare Assistance Team)を編成し、展開されています。
さらに、関係当局へ強く働きかけ、看護基礎教育に放射線看護科目の導入を実現(2017年)されたほか、看護職等の放射線防護・安全のための「女性作業者の線量限度」の設定を放射線防護関連法令に明記させる(2021年)など、放射線防護・安全に関する専門知識を有する比類なき看護職として活動されました。
そして現在も、看護と医学の両方の視点を持った日本版の診療看護師(Nurse Practitioner)の養成、一般社団法人日本NP教育大学院協議会を設立など、看護職の自律を目指した看護教育の具現化に尽力されています。これにより、看護学の教育・実践・研究において最も成果をあげたリーダーに対して授与されるFAAN(Fellow of the American Academy of Nursing)も授与されました。
草間顧問とともに授章された髙原氏は国内外の人道支援活動、今村氏は看護教育の確立や日本初の国立大学看護学科創設等に尽力されました。3人の方は現在も活動されています。
皇后陛下よりナイチンゲール記章を授与される草間朋子顧問(写真提供:日本赤十字社)
授章式で挨拶をする日本看護協会の高橋弘枝会長、後方前列左が草間朋子顧問、右が髙原美貴氏
(写真提供:日本赤十字社)
〈3人の授章者の活動への感謝と看護の未来で為すべきこと〉
この度、皆さまの活動を知ったこと、そして現在も看護界のために尽力されていらっしゃることを考えると頭が下がる思いと感謝でいっぱいになります。自分が関心を寄せること、着目することを長く追及し続けることが自らの目標を達成するだけでなく、新たな制度を創設していくことに繋がっているということを、皆さまの授章から再認識させられました。また、その他にも多くの先人たちの思いや情熱が看護界を改善してきたことを痛感いたします。
看護界の未来を考えると、人口減による労働人口の減少で、人員確保がますます困難な状況を迎えます。新型コロナウイルス感染症の対応に翻弄させられた3年余りが過ぎ、医療現場では医師の働き方改革の施行、タスク・シフト/シェアの推進や業務の効率化等も迫られています。持続可能な良質な看護を提供するために、さまざまな課題をどう解決していくべきなのか、日本看護連盟として為すべきことは何かを皆さまと共に考え、実践していきたいと思います。
[第49回フローレンス・ナイチンゲール記章の詳細はこちら]
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