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看護業務の効率化先進事例アワード2021
2021年12月22日、「看護業務の効率化先進事例アワード2021」表彰式・事例報告会が開催されました。昨年度に引き続き、授賞式の模様はZoomウェビナーによるオンラインで配信されました。
近年、少子高齢化や医療の高度化・複雑化によって看護職の活躍する場が拡大し、これまで以上に高い能力を発揮することが求められています。しかし、少子高齢化による労働力人口の減少にともない、看護職の平均年齢は上昇、増員による課題解決は困難となっています。看護職の身体的・精神的負担が増し、職務満足度の低下や離職リスクが増えているのが現状です。そうしたなかでも看護職が看護の専門性を発揮するためには、組織全体で業務を見直し、効率化を図ることが必要となります。
日本看護協会では、これらの問題意識のもと、直近3年以内に看護業務の効率化に資する優れた成果や効果を上げた取り組みや、それにより医療・看護サービスの充実を実現した取り組みを「看護業務効率化先進事例収集・周知事業 看護業務の効率化先進事例アワード」としてホームページ等で募集し、そのなかから汎用性が高く効果のある取り組みを選考・表彰しています。
3回目となった本アワードは、22都道府県から44件の応募があり、そのうち9施設に最優秀賞、優秀賞、奨励賞、特別賞が贈られました。本年度は、初めて介護老人福祉施設からの応募があったことに加え、新型コロナウイルス感染症に関する取り組みも5件あり、事業の広がりを示しています。
最優秀賞を受賞した東京都立小児総合医療センターの取り組みは、施設で特定行為研修修了看護師が誕生したのをきっかけに、医師の診療業務を看護師にタスクシフトすることで、看護師と医師の連携を強化し、互いの業務負担を軽減すると同時に、患者へのタイムリーな症状緩和を実現したものです。看護師、医師、薬剤師など、それぞれの力を出し合って成果をあげたことが大きく評価されました。
表彰式に続いては、各施設の取り組みがプレゼンテーションされたほか、前年度に受賞した取り組みを試行実施している施設による、事例報告も行われました。
受賞施設は以下のとおりです。
最優秀賞
東京都立小児総合医療センター(東京都)
小児集中治療室で取り組む特定行為実践とタスクシフト~効率的で安全・安心な看護の提供を目指して~
優秀賞
〈業務改善部門〉
医療法人和同会広島シーサイド病院(広島県)
改善活動の推進による働き続けられる職場環境づくり
~広島県版自己点検ツール「チャレンジ」を活用した3か年に亘る業務改善の取組~
〈AI・ICT等の技術の活用部門〉
社会医療法人柏葉会柏葉脳神経外科病院(北海道)
新型コロナウイルス感染症クラスター下での看護記録革命!
~スマホ活用で問題解決~
〈その他の工夫部門〉
学校法人北里研究所北里大学病院(神奈川県)
看護補助者の退職者減少を目指した「看護補助者の拡大チーム」の編成と「看護補助者ラダー」の導入
奨励賞
学校法人日本医科大学日本医科大学千葉北総病院(千葉県)
新型コロナウイルス感染症対応病棟における物品搬送ロボットの活用
社会福祉法人弘陵福祉会特別養護老人ホーム六甲の館(兵庫県)
看護師のケアマネジメント力を介護負担軽減と二次障害の予防に活かす
~老人介護施設における看護師の役割とノーリフト推進~
社会医療法人孝仁会訪問看護ステーションはまなす(北海道)
在宅サービス過疎地域における訪問看護ステーションの一元管理
特別賞
稲沢市民病院(愛知県)
新型コロナ感染症発熱外来におけるWeb問診による看護師の職業感染予防と業務負担軽減への取り組みの成果
公益財団法人東京都保健医療公社東部地域病院(東京都)
看護部働き方改革プロジェクト:「繁忙度表」を活用した「看護師長の病床・業務調整会」による人員の采配と応援体制づくり
*看護業務効率化先進事例収集・周知事業については、以下のポータルサイトで詳しく知ることができます。
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