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2020.07.07

レポート:COVID-19に対して、都道府県看護連盟はどのように動いたか[1]

 1月25日、国内最初の新型コロナウイルスの感染例(渡航歴のない人の感染)が見つかってから、感染は瞬く間に拡大しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、日本国民の生活に大きな影響を及ぼしました。そんな中、COVID-19の最前線で懸命に患者の治療・支援に取り組む看護職たちをサポートするため、都道府県看護連盟は、行政や地方議員に働きかけてきました。

 未だCOVID-19は終息したわけではありませんが、これまでの各県看護連盟の活動の記録をシリーズでご紹介いたします。

 第1回目は、9県の看護連盟の活動をご紹介します。

 

(1)【岩手県看護連盟】感染予防物品の現場調査結果から自民党県連に支援を要望

 3月1日から会員のいる施設の管理者に感染予防物品の不足状況について聞き取り調査を行った。この調査結果をもとに、3月9日、自由民主党岩手県支部連合会藤原崇会長・岩崎友一幹事長宛に医療用マスク不足に対する支援を要望。

 3月20日から現場の看護管理者からマスク供給があったと感謝が寄せられた。

 4月30日、岩手県保健福祉部野原勝部長に県知事宛の要望書を提出。

  ①妊娠中の看護職員の休業に伴う代替職員の確保について
  ②新型コロナウイルス感染症対策に係る看護職に対する危険手当の支給等について

  ③沿岸地域からの内陸部通院時のバス路線の改善と二次交通の充実強化。

 5月27日に、各要望について適切に対応すると岩手県保健福祉部長から回答を得た。

 また、5月には各施設に対して、感染予防の備品とPPEについてアンケートを実施した。

4月30日岩手県庁保健福祉部長に現状説明。佐々木茂光県議同席

岩手県野原勝保健福祉部長(右)に要望書提出。山下キヌ会長(中央)と吉田照子副会長

(2) 【鳥取県看護連盟】メーリングリストで県内施設管理職・連盟役員・支部長との情報交換

 県内の看護管理者のメールアドレスをリストアップ(25施設)。

 メーリングリストで常時連絡できるように整備し、情報提供、情報収集、国会議員からのメッセージなどに活用した(3月から実施)。

 ・情報提供:日本看護連盟・日本看護協会、LINEアンフィニからの情報(取り組みや要望書など)、看護職国会議員からの情報、鳥取県看護連盟からの情報(取り組みや要望書など)

 ・情報収集:COVID-19に関する対応、マスクや防護具等の衛生材料の不足状況、誹謗中傷などの被害の有無、ホテルなどでの宿泊の有無など。調査結果は、石田昌宏事務所に報告し、鳥取県や国会議員への要望書に資料として添付。また、ホームページに掲載した。

 ・メッセージ:看護職国会議員および地元選出の石破茂衆議院議員・赤沢亮正衆議院議員から寄せられた。

 ※鳥取県看護連盟の一連の取り組みはホームページに掲載。また、2020年度通常総会要綱を会員全員に送る際に、会長挨拶と石破・赤沢両議員のメッセージを同封して送付(6月8日)

(3)【鹿児島県看護連盟】COVID-19対応の市立病院等に交付金申請の働きかけ、医療従事者へのPCR検査実施の要望

 ・県行政の看護係には看護協会から、COVID-19に対応している市町立病院(鹿児島市立病院、出水総合医療センター、公立種子島病院)には看護連盟が、2020年度補正予算新型コロナ感染症対応地方創生臨時交付金の申請を働きかけた。

 ・PCR検査実施について県に要望した。

  ① 症状の有無にかかわらず医師が感染を疑った場合は、PCR検査を医療保険の適用とされたい

  ② 医療従事者が希望した場合、PCR検査を実施し、公費負担されたい

(4)【徳島県看護連盟】現場の状況を聴取し、自民党県連に要望

 ・自民党県連に要望(4月22日):①コロナ対応看護職への危険手当支給とホテル等の宿泊費補助、②妊娠中の看護職員の代替え職員雇用経費補助 → 危険手当日額3,000円、ホテル利用可能に

 ・自民党県連への要望(4月27日):①看護職員の確保、②防護関連用具や衛生材料の確保と安定供給、③看護職員の子どもの預かり場所の確保、④誹謗中傷や風評被害対策、⑤訪問看護St 等でのオンラインでの病状確認や療養指導実施時の診療報酬算定、⑥PCR検査の早期実施と保険適用、⑦医療従事者のPCR検査の公費負担、⑧学生への遠隔授業の整備とシミュレーション授業を行うための環境整備への補助、⑨学生への生活費等の支援

 ・5月9~12日に現場状況確認。マスクや防護用ガウンの不足が続いていたので、一部の自民党県議や国会議員に口頭で説明し、要望。

(5)【岡山県看護連盟】COVID-19患者受け入れ施設の実態調査をもとにあべ俊子衆議院議員に要望書を提出

 ・県北のCOVID-19受け入れ施設から、看護管理上の問題、病院経営上の問題について、あべ俊子衆議院議員、逢沢一郎衆議院議員、県議会議員に報告した。

 ・COVID-19を受け入れている民間施設の実態調査を行い、あべ議員に次の情報提供と要望を行なった。

   ①帰宅困難者の宿泊場所を提供している施設の看護師は、母子分離・家族分離などにより、心的ストレスが高い

  ② COVID-19患者の受け入れには、病床の確保、二次感染予防対策などに時間と人手が費やされる。

  ③ ケアを行った看護師に4000円/日の危険手当を支給してほしい。

  ④保健所体制の整備(保健師の増員・強化):PCR検査を迅速に実施できる体制づくり

  ⑤ 医療者を二次感染から守るための防護服などのグッズ確保・備蓄

岡山県議会議長、副議長に要望書を提出

子どもたちから送られたメッセージ

(6)【長崎県看護連盟】知事、市長、地元国会議員、自民党県連などへ幅広く要望書を提出

     4月24日から5月26日にかけて、中村知事、瀬川県議会議長、北村自民党県連会長、外間自民党県連幹事長、田上長崎市長、朝長佐世保市長、冨岡衆議院議員等に要望書を提出。

 [要望の成果]

  ①ホテルで軽症者をみるプラチナナースの時給引き上げ:1,146円~1,282円 → 1,709円

  ②新型コロナウイルス感染症患者の診療に関わる医療従事者の宿泊施設を確保

  ③ 佐世保市役所の担当者が施設を訪問し、 1,000食の食事を提供

  ④看護師の危険手当等処遇改善については、4月30日に可決された県の補正予算で確保

(7)【秋田県看護連盟】看護師養成機関へマスク配布、PCR検査の公費での実施・医療従事者への誹謗中傷対策を要望

 県内の看護師養成機関の教員から、4月からの実習時に使用するマスクが入手困難との訴えをもとに県内の養成機関8か所の状況を確認。3月28日「秋田県の看護を守る議員連盟」(看議連)にマスク配布を要望。5月下旬、県内8か所の養成機関へ、県から一律600枚のマスクが支給された。

 4月21日、佐竹知事と看議連宛に「新型コロナウイルス感染症対応している看護職に対する危険手当の支給等について」「妊娠中の看護職員の休業に伴う代替職員の確保について」要望書を提出。

 5月18日~31日、県内感染症指定病院(陽性入院患者を受け入れた6施設)の看護管理者と感染症患者に対応した看護職へアンケート調査を実施。結果、看護職員は、自身の感染への不安を抱え職場に復帰していること、また患者および医療従事者が誹謗中傷に苦悩している実態がわかった。

 そこで、6月18日、看議連とともに佐竹知事に次の要望書を提出し、現場の声を届ける。①感染患者に直接関わった医療従事者全員に強制的にPCR検査を公費で実施されたい、②COVID-19患者に関わった医療従事者および感染者に対する誹謗中傷について対策を講じていただきたい。この要望に対し、知事から大変前向きの回答をいただいた。

佐竹知事に要望書を提出

(8)【三重県看護連盟】自民党国会議員・自民党県連への働きかけ、マスク・プラスチックグローブの配布

 3月31日、自民党県連に要望書(緊急事態宣言の発令、人工呼吸器・ECMOの補充、衛生材料の充足、軽症者の受け入れ先確保、県庁のコロナ対策チームに感染管理認定看護師の参加、医療従事者へエールを送ってほしい、など)を提出。

 4月3日、自民党県連の青木幹事長、石田政調会長が、連盟事務所を来訪。さらに要望を出す(流言飛語による偏見の防止、新型コロナウイルス感染症の正しい知識の普及、など)。

 4月17日、マスクおよびプラスチックグローブを購入し、会員全員に配布。

 4月17日、危険手当等の要望書を衆議院議員(三ツ矢・田村・川崎)・鈴木知事・三ツ矢自民党県連会長に提出。4月30日、危険手当等の再度要望のため、自民党県連幹部と共に県庁を訪問。5月27日、川崎二郎衆議院議員国会事務所から、国がコロナ対応の医療従事者等に20万円支給等の電話連絡あり。

 5月27日、コロナ対応5日以上の看護師や医療従事者にクオカード5万円、5日以下で3万円を支給と、県が発表。

(9)【山口県看護連盟】村岡知事、県議会議長宛に「新型コロナウイルス感染症対策に関する要望書」を提出

 4月末から5月初旬にかけて、支部内施設のCOVID-19に関する問題や要望を支部長が聞き取り調査した。同時期に県看護協会もアンケート調査を実施。

 5月14日、連盟、協会それぞれの調査結果を持ち寄り、要望書の作成を開始した。要望書の提出方法について「看護問題を考える山口県議会議員連盟」の会長・副会長・幹事長に相談。日程等の調整をしていただいた。また、知事要望の際のマスコミへ記者配布資料を作成し配布。

 6月2日、村岡嗣政県知事へ「新型コロナウイルス感染症対策に関する要望書」を手渡す。同日、山口県議会議長(当日は議長所要にて副議長)へ同内容の要望書を提出。要望書提出の当日、テレビはNHKをはじめ3社、新聞は6社が取材した。

村岡知事へ要望書を提出。「看護問題を考える山口県議会議員連盟」幹部が同行

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