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2020.03.25

日本看護協会が現状の課題と要望について発言〜自民党新型コロナウイルス関連肺炎対策本部ヒアリング

 3月19日、自民党の新型コロナウイルス関連肺炎対策本部は、

自民党本部で開かれた自民党新型コロナウイルス関連肺炎対策本部のヒアリング。たかがい恵美子参議院議員、あべ俊子衆議院議員、木村弥生衆議院議員も出席した。

厚生労働省・外務省から新型コロナウイルスに関する対応状況の報告を受け、また関連団体の代表者を招いてヒアリングを行いました。

 議事に先立って、岸田文雄自民党政務調査会長が挨拶しました。

<岸田政調会長のあいさつ>

 3月11日にWHOが(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的大流行)宣言を出した。欧州を中心に世界各地で爆発的に感染が広がっている。その中にあって、我が国では、感染の動きは比較的緩やかである。これは、専門家の方々や、お集まりいただいた関係団体の皆さまの努力によって一定の効果が出ていると思っている。しかし油断は許されない。引き続き、大変な緊張感、危機感をもって取り組んでいかなければならない。午前中は、経済を中心にご議論いただいた。リーマンショック以上の影響があると言われる中にあって、思い切った経済対策を進めていかなければならない。

 感染症対策と経済対策は、車の両輪である。換言すれば、一刻も早く感染症を抑え込むことこそ、最大の経済対策であると信じて、我々は取り組んでいかなければならない。

 大変お忙しい中、医療関係のみなさま、福祉関係のみなさま、保育関係・教育関係のみなさまから、最前線でご努力いただいている厳しい状況についてお話しいただく。改めてご協力に感謝申しあげ、我々も国民生活と日本経済の平素化に向け、しっかり努力してまいりたい。

 岸田政調会長の挨拶の後、厚生労働省と外務省から、対策の現状について報告がありました。

 厚労省・外務省の報告の後、関係団体のヒアリングとして、各団体が現状と要望を述べました。日本看護協会からは鎌田久美子常任理事が出席し、看護の現場の説明と要望を述べました。

<出席した関係11団体(発言順)>

  ①日本医師会

  ②日本歯科医師会

  ③日本薬剤師会

  ④日本看護協会

  ⑤日本病院協会

  ⑥全国老人福祉施設協議会

  ⑦全国介護事業者連盟

  ⑧日本知的障害者福祉協会

  ⑨全国私立保育園連盟

  ⑩全日本私立幼稚園連合会

  ⑪全国認定子ども園協会

<日本看護協会が、人材確保策衛生材料の供給・手続きの簡素化を要望>

 鎌田常任理事は、日本看護連盟から3点、現状の課題を報告し、それらについて要望しました。

 1点目は、医療機関における看護職員の確保策の推進。子育て中の看護職員が出勤が難しい事態が生じていること、風評被害で看護職が退職する事案も生じたこと、感染の疑いのある患者への対応で外来の看護師が疲弊しているという状況が出ている。これに対する要望として、看護職員確保状況に関するニーズの把握とナースセンターを活用した看護職員の確保や調整を図る仕組みを4月以降も継続していただきたい。

 2点目は、医療機関、介護施設、訪問看護事業所に対する衛生材料の確保、配布。これらの現場では、マスク、消毒用アルコールなどの衛生材料が不足し、患者の感染予防のみならず、看護職自身も予防することが難しくなっている。これに対する要望として、マスクをはじめとする衛生材料を確保し、必要とする施設に確実に配布していただきたい。

 3点目は、訪問看護事業所における事務手続き等の柔軟な対応。通所系サービス等が休止になり訪問看護の需要が高まっている一方、訪問看護事業所も職員の確保が困難なところが生じている。このため、利用者が他の事業所を利用せざるを得なくなった際に、医師の指示書の再発行など、煩雑な手続きが生じる。これに対する要望として、手続きの簡略化など柔軟に対応できるようにしていただきたい。また、このことを事業者や保険者に周知していただきたい。

*詳細は別紙資料=PDFをご覧ください

<出席国会議員の主な意見:現場に衛生材料を、医療提供体制の強化を!>

●マスクや消毒薬などが、現場に届くように万全を期していただきたい。医療体制の確保のために、軽症者に対してはホテルなどの借り上げで対応することも必要ではないか。

●医薬品の提供体制や製造体制が数か月のうちに深刻な問題になるかもしれない。医薬品がなくなった時、どのような対応を取るのか指針を出してほしい。

●今後、受け皿となる民間病院を支援するため、医師会から要望があった基金の創設も必要。

●不織布マスクは圧倒的に不足しているので、医療機関など必要な施設に優先的に配布して欲しい。代わりに洗えるガーゼ・マスクがどの程度効果があるか、示して欲しい。

●現在対象外となっているセイフティーネット補償について、医療・介護産業も対象に加えてほしい。

●最大の経済対策は重症患者をいかに救命するかだと思っている。重体の患者を救えなかったら、日本は危ない国だと思われ、海外から人がやって来なくなる。

●テレワーク、遠隔医療、介護ロボットなどを利用して、この際一気に現場を変えていただきたい。教育においても、家庭にいながら授業を受けられる仕組みなどを進めてはどうか。

●これからコロナウイルスにかかる医療の費用は、基金を設けるなど、診療報酬の外でお願いしたい。

●医療資源、介護資源の確保を最優先にしてほしい。例えば、PCR検査の要望が多く出ているが、それが負担となって医療に支障が出ないように、バランスを取れるようにしていただきたい。ワクチンの開発にはしっかり予算を割いて力を入れていただきたい。医薬品に関する情報も混乱している。厚労省の適切な対処をお願いしたい。これに関して、ネットにデマもたくさん出ている。これを防ぐこともお願いしたい。

●幼稚園、保育園、障害者施設は、新学期を迎えるとより一層人手不足となる。その手当をしっかりしていただきたい。地元の声を聞くとオムツも足りていないという。こちらへの目配せもお願いしたい。

●洗えるマスクの洗い方と保管の仕方の周知をお願いしたい。感染症を受け入れる医療機関については十分な助成をお願いしたい。保育園や介護施設への助成に関する情報が混乱しているようだ。きちんと整理してほしい。医療機関で感染する恐れがあると受診しない例があるという。医療機関は安全だということを周知してほしい。

●治療薬の開発に関して、現場を抱えている開発担当者は厳しい状況にあるので、必要な事務処理を各省庁で応援できないか。また、既存薬のアビガンは効果があると報告されているが、平時の治験ではとても間に合わないし、販売権を持つ中国に先を越されるかもしれない。なんとかならないか。

●休校措置の後の補習授業などの対応をしっかりお願いしたい。

●マスクを「必要な」医療機関ではなく「すべての」医療機関に配布できるよう努力してほしい。自治体にも周知してほしい。PCRの検査は、より充実させてほしい。医療機関も、外来と入院は切り分けて混乱を避けてほしい。

●マスクが不足しているが、マスクを輸出禁止にすべきではないか。また、実際に検査をする臨床検査技師が疲弊しているという。現状を教えてほしい。

●感染発生などの情報は、正確にしっかり伝えてほしい。効果が期待されるアビガンは副作用として催奇性が指摘されている。治療薬として採用された際は、アビガンに限らず、副作用についての周知・注意を徹底してほしい。

●医療供給体制の強化が重要だ。そのためには基金の創設と同時に、他地域に応援に駆けつけた医療者の休業補償も必要だ。また、介護施設も大きな影響を受けている。支援が必要だ。

●小学生を抱える保育士が仕事を休み、保育士の配置基準を下回った場合はどうなるか心配という声が保育園からあった。その点の周知徹底をお願いしたい。

●スポーツイベントなどで、感染症を恐れてボランティアが集まらないという。ボランティアに対するワクチン接種などを考慮いただきたい。

●保育園と幼稚園の助成金の差はすでに解消されている。そのことが周知されていない。

●医療崩壊を防ぐために、高齢者、重症者に重点をおいた医療体制にしていいのではないか。休校・自粛の解除のタイミングはエビデンスに基づいて行ってほしい。加えて、十分な国の支援、税の軽減措置を行ってほしい。また、ペルーで足止めをされて困っている日本人がたくさんいるのをなんとかしてほしい。

●治療は対症的に行われていると思うが、その中で確立した知見を広く共有できるようにしてほしい。高齢者施設でクラスターが発生しないように、感染予防に関する情報を周知してほしい。

●自治体で検査が行えるようになったが、感染経路が明確でない検体が出てきている。このような検体はワクチンの開発に役立たないという。このあたりの改善をお願いしたい。

<厚生労働省からの回答>

◉一般用マスクは、現在2100万枚ほど調達し、必要とする高齢者、保育、障害者施設の職員、利用者に配布する準備を進めている。また、サージカル・マスクは1500万枚ほど調達し、都道府県を通じて医療施設に配布する予定である。今後さらに上積みを図りたい。

◉保育園の助成については、今年度中に何ができるかということで措置したが、混乱をもたらしたことはお詫びしたい。助成金について、柔軟に取り扱いできるように整理して、現場にお伝えしたい。

◉医療提供体制について様々なご意見をいただいた。3月中は、予備費を用いて、様々な対応を迅速に行えるように考えているが、各議員の先生方にもご協力をいただきたい。重症者に対する医療体制と、通常の診療の継続に関しても、きちんと対応したい。DMATもすでに活用しているが、今後も必要に応じて検討したい。

◉医療施設、福祉施設の経営資金については、無利子での貸与を行っており、4月以降も継続する予定である。

 質疑応答の後、田村憲久本部長が挨拶し、会議を終えました。

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