会長のマンスリーメッセージ

会長マンスリー
2021.04

さあ 新たなスタートを踏み出しましょう

 桜花爛漫から新年度のスタートと、4月は物事の始まる季節を連想させ気持ちが浮き立ちます。

 どんなことにも、始めがあれば、必ず終わりがあるもの。明けない夜はない。

 プロセスには様々あります。学んできたことが、科学の進歩や発見とともにエビデンスが新たになり、進化することも大いにあります。

【誤嚥を予防する3分ストレッチ】

 帰宅後、家族がテレビを見ていたので、何気なく覗きこんで、驚きました。

 舌の動きが骨盤の位置によって変化するというのです。ん、骨盤と咽喉? その位置関係が、どう繋がるのかしら? 俄然、興味をもって見入ってしまいました。

 食事介助時のポジショニングが重要であることは、現役時代から知っておりましたが、それは咽頭の動きとの関連でした。臨床では、枕や補助具を使って誤嚥しにくい体位をとってきましたし、飲み込みやすくする食品の工夫や、とろみをつける補助食品もたくさん開発され、製品化されています。

 ところが、NHK「ガッテン! 3分の謎ストレッチで食べる喜びを取り戻す! 誤嚥・喉の違和感を防ぐカギ「舌力」アップの新秘策」という長いタイトルの番組では、3分間、太もも裏の筋肉をストレッチし、骨盤を起こしていくと、背筋が伸びて舌の沈下を防ぐと言うのです。

 早速、座骨と大腿骨の後面について調べてみました。確かに、ハムストリングと呼ばれる大腿二頭筋と半腱様筋の起点となっているのは座骨です。したがって、座骨を立てると舌根の沈下を防ぐことになり安全な嚥下に繋がります。番組が説明していたとおり、そのメカニズムに納得できました。

 臨床を離れて11年。現役のときは、食べる前の準備としての嚥下体操や、舌や口腔内ケア(喉のアイスマッサージなど)・頬の筋肉の訓練等を、患者さんとともに一生懸命行ってきました。

 最近では、摂食・嚥下障害看護認定看護師を中心に、さらに進化した摂食・嚥下訓練が行われています。嚥下時の咽頭挙上の訓練、胸郭の訓練(口すぼめ呼吸・腹式呼吸)に加えて、椅子に座り、もう一つの椅子に両足を乗せ、足首を直角にして3分間背筋を伸ばす姿勢をとり、舌根の位置を挙上させてから食事をすることで、誤嚥を防ぐことができます。誤嚥を減らせば、合併症予防になり、病気からの早期回復にもなります。

 また、最期の時まで、望むもの、食べたいものを口に運んであげる可能性が高まります。残される近親者にとっても、後々の後悔を減らすことに繋がるでしょう。咽頭から座骨が繋がっていることは、解剖生理学的にはわかっていても、嚥下という生活の営みには長らく活かされていませんでした。

 それにしても、独立して存在するかに見えて、連動し、統合されているという身体の不思議。まだまだ見えてないことが、あるかもしれません。

 一つの出来事が多方面に影響を及ぼすことは、身体だけでなく、日常でも起こり得ることです。COVID-19の感染もそうです。こんなにも一気に私たちの生活や価値観を変え、広く世界経済に影響を及ぼしてきたことは、戦争以外にあったでしょうか。

 ちょっとしたボタンの掛け違いというような時、原点に戻り、起点はどこにあるのか?何が原因か?を考えたいと思います。本当の原因を突き詰めてゆくことが、また、新たな価値を発見することになると思います。

 そして、どうあることが望ましいのか、その方向を目指して解決策を探る。共に考え、共につくり、共に超えることは、あたかも分断しているように見えるものを一つひとつ繋ぎなおしてゆくプロセスでもあると考えます。

 今回は、嚥下というメカニズムの認識の変化から、新たな気づきを得ました。4月のイメージであるスタートから、新たな一歩を踏み出してゆきたいものだと思いました。  

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