会長のマンスリーメッセージ
風疹(3日はしか)の患者の急増
東京都、千葉県、神奈川、埼玉など首都圏を中心に、風疹の罹患者が急増しております。風疹は、かつては子どもを中心とした疾患でしたが、最近は成人へと移行し、とくに30から50歳代の男性患者が増加しております。
なぜ、風疹が注目されるのでしょうか。風疹は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を伴う疾患ですが、妊婦が風疹に感染すると先天性風疹症候群(CRS:動脈管開存症や肺動脈弁狭窄症などの先天性心疾患、難聴、白内障)を持ったお子さんが生まれる可能性があるからです。風疹は、ワクチン接種で予防することができます。妊娠する可能性のある女性にワクチン接種(妊婦にはワクチン接種は行われません)をすることで妊婦の風疹の発生を防ぐことができます。さらに、風疹は、飛沫感染あるいは接触感染で広がっていきます。そこで、妊婦の周辺の感染源をなくすこと、すなわち家族や、医療スタッフなどに風疹が発生しないようにするためにワクチン接種が勧められています。
日本では、現在、風疹のワクチン接種は1歳児と6歳児の2回接種が行われており、これにより99%の人々の風疹への感染予防ができるとされています。しかし、かつては、男子を除き、将来妊娠する可能性がある中学生の女子に風疹ワクチンの集団接種が行われた時期が長く続きました。このため、現在、39歳以上の男性および56歳以上の女性は風疹ワクチンを接種する機会がなかったので、風疹に罹かった経験がない人は、抗体がありません。このため、男性が女性に比べて罹患率が高いという現象が起こっております
厚生労働省は、妊婦が風疹に罹患する機会を避けるために、風疹に対する抗体価検査の実施と、抗体価の低い人にワクチン接種を推奨しており、とくに、過去に定期接種の機会がなく、抗体保有率が低い39~56歳の男性に絞って重点的に対応することとしております。厚生労働省は、平成32年度までに我が国から「風疹」を排除することを目標にしております。
患者さんたちにとって身近な存在である看護職は、患者さんたちに風疹予防の必要性とワクチン接種の重要性を分かりやすく説明し、風疹の拡大防止、患者ゼロに向けて専門職としての役割を果たしていきましょう。また、看護職自身が感染源にならないようにするために風疹予防への対応(抗体検査およびワクチン接種)も忘れずにしましょう。
会長のマンスリー
メッセージ