会長のマンスリーメッセージ

会長マンスリー
2017.05

看護界をあげて教育の検討を

 日本看護協会は、昨年から「看護師教育の4年制化(必ずしも大学教育を意図しているわけではありません)」をあげ、さまざまな要望活動を続けております。平成4年の「看護師等の人材確保の促進に関する法律」の制定以降、急激に増加した看護系大学は、本年4月には255校になり、18歳人口が減少する中、毎年10校程度増加しております。また、看護系大学におけるコアカリキュラムが5月にパブリックコメントとして公表されることになっております(医学教育のコアカリの改訂版はすでに3月に公表されております)。一方では、昨年から、医療職と介護職の基礎教育内容の共通化が検討されております。

 看護教育の領域に新参者として入ってからほぼ20年が経ちました。看護教育の領域に新たに身を置くにあたって、私自身が50年以上前に受けた基礎教育の経験を通して肝に銘じたことは「看護、看護学に対する夢とプライドは基礎教育の課程で醸成される」ということでした。基礎教育を学んだ学生たちが、卒業時点で「生涯の職業として看護職を選択してよかった」と心から思える教育に打ち込むことを決心し、この20年間、微力ながら全力投球してきたつもりです。

 対象者の最も身近で、対象者の生活全体を捉えて支援してきた看護職の役割は、少子超高齢社会を迎え「治し、支える医療」「地域包括ケアシステムの構築」をチームで進めていく上で、きわめて重要であることは「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告書の中でも明示されております。

社会・時代のニーズ、クライエントの多様で複雑なニーズ等に対応できるプロフェッショナルな看護師の教育について看護界全体が真剣に検討しなければならない時期であることを痛切に感じております。

① さまざまな課題がありますが、今、検討する必要があると考えている課題3点をあげてみました。① 看護の基礎教育の多様性について:准看護師の移行教育から大学での教育まで多様な道筋が用意されている看護の基礎教育の中で、看護の質を担保できる教育ができるかどうか。看護師(職種)としての多様性を求めることと、看護師に対する教育の多様性とは分けて考える必要がある。看護師としての到達目標を達成できる教育課程・教育内容であることが必要である。保健師および助産師教育についても、教育課程として専攻科、大学、大学院課程が混在しており統一されていない。基礎教育の課程の多様性をさらに促進する制度は控える必要がある。

② 看護系大学の増加のスピードについて:平成21年の保助看法の改正により看護師の教育が始めて「高等教育(大学以上の教育)」に位置づけられた(医療職の基礎教育が高等教育に位置づけられているのは、医師、歯科医師、薬剤師、看護師のみ)。とはいえ、大学教育を受けた看護師の割合は、依然として40%には達しておらず、看護系大学の増加は好ましいことではあるが、大学教員(大学設置基準に基づく数と質)の確保が追いつかないままの現状で大学化が進められることによる看護教育の質の低下が懸念される。看護師教育の高等化を目指した看護専門学校の大学化は、積極的に進めていく必要があるが、18歳人口の減少に伴う他学部から看護学部への転向がこのままの状況でよいか。医学部を開設(平成28年度、29年度に2校が新設)することに対しては社会の大きな関心が寄せられさまざまな視点からの議論がなされているが看護系大学の増加のスピードについても教育の質の担保を念頭に入れて適切にコントロールしていく必要がある。

③ 看護の基礎教育と新人研修のシームレスな一貫教育について:医療の進歩などに伴い看護師に求められている知識・技術の拡大、超高齢化、病床区分の見直しなどに伴う看護教育に必要な臨地実習の環境変化等により基礎教育における到達目標を達成することの限界、新人研修の到達目標との重複等を考えると、基礎教育と平成21年の保助看法および人確法の改正で「努力義務化」された看護職の新人研修との到達目標の整合性を図り、両者を一体化させた教育・研修内容を検討し、基礎教育と新人研修を通して一人前の看護師を育成することを志向する時期にある。このためには、看護職の新人研修の「義務化」が必要とされる。

 夢と希望に胸を膨らませた新入生たちを目の前にし、看護の基礎教育に対する教育者としての使命感を新たにしている毎日です。

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