会長のマンスリーメッセージ

会長マンスリー
2017.04

看護師の給与

 さまざまな機会に、看護職のみなさんから上がってくる現場の声・課題の大半は、「勤務時間が長い」「超過勤務が多い」「夜勤の負担が大きい」「給与が安い」などです。日本看護協会の調査でも、看護職の離職の理由としてこれらがあげられております。

 先日、厚生労働省から公表された「賃金構造基本統計調査」の「きまって支給する現金給与額」の数値にも、このような現場の声・課題を裏付ける結果が示されております。

 看護師の給与額(平成27年6月分:所得税、社会保険料等を控除する前の額で、基本給、職務手当、通勤手当、家族手当、超過労働給与額を含む)は329,200円で、医療職の中では、医師(848.4千円 平均年齢:31.5歳)、歯科医師(517.7千円 33.2歳)、薬剤師(381.6千円 41.2歳)、診療放射線技師(368.8千円 34.8歳)、看護師(38.2歳)、看護師の順となっております。ちなみに、准看護師は、277,400円7.4万円、看護補助者は206,800円です。職種間の給与額を比較するときに注意しなければならない点は、それぞれの職種の平均年齢です。看護職の平均年齢は、ここにあげた5職種の中では、薬剤師に次いで高いことが分ります。したがって、仮にこのデータを元にして年齢調整給与額を求めることができるとすれば、看護職の給与は、相対的にさらに低くなってしまいます。全産業(平均年齢:40.0歳)の給与額は、333,300円で、この額を超えていないのは、ここにあげた5つの医療職の中では看護師のみです。看護職の給与額でもう一つ大きな問題は、他の職種に比べて給与額に占める基本給の割合が89%と低いことです。給与額に占める基本給の割合が90%以下の医療介護職(栄養士、臨床検査技師、介護福祉士等)は看護師だけです。看護職は、夜勤手当、夜間看護等手当、超過勤務手当等で、かろうじて30万円を超える月額給与が維持されているわけです。

 一つの職場での看護師(准看護師は含まない)の勤務年数(5.9年)は、医療職の中で、医師(5.3年)についで短く、看護師の職場定着率が悪いこともこのデータから明らかです。

 看護職としてのプライドや、患者さん・家族のみなさんの言葉に救われて働き続けられているのでは、もはや、長続きしません。「勤務状況もつらい」、「給与も安い」では立つ瀬がありません。私たち看護職は、これからの日本の「治し・支える医療」の質を左右するのは看護職の「働き」であるとの自負を持って日々の業務を行っております。私たちは、「責任」・「働き」に見合った対価が得られる要求をしていかなければなりません。看護学生が職場を選択する際の条件としても3K(給与、休暇、教育・研修体制)があげられております。

 10%消費税が延期され、医療・介護の財源確保が難しい状況の中で、看護職の処遇改善(基本給の引き上げ、夜間看護等手当の引き上げなど)を要求していくためには、チーム医療のあり方とその推進、看護職の階層構造のあり方などを検討し、主張していかなければならないと思っております。そのためにも、行政等の意思決定の場に看護職を送り込む努力を続けることも、今年度の目標の一つと思っております。

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