会長のマンスリーメッセージ

会長マンスリー
2022.01

今年の参議院選挙は「看護職基本給アップ実現選挙」です!

 オミクロン株の感染者数の日々の報道を気にしながら、共生に舵を切り、生活では手洗い、マスク着用、三密回避を実行している国民の皆様には、心からの賛美と感謝を申しあげるばかりです。そして、医療現場では、引き続き最前線を守る看護職に、日本の命運をかけざるを得ませんが、ワクチン接種3回目と内服治療薬承認に、強い期待を持って6波が低く抑えられることを切に祈っています。

 2022年の干支は、壬寅(つちのえとら)。「壬」は「はらむ」「生まれる」。寅は「演」に由来し「人の前に立つ」「演」と同じ読みの「延」から、「延ばす・成長する」という意味が込められています。2つを組み合わす壬寅には、「新しく立ち上がること」や「生まれたものが成長すること」の意味を持つ、芽吹きの年であり、選挙年にとって縁起のよさがあります。

 おめで(芽出)タイガー!!です。

 日本看護連盟の今年の目標は、ただ一つ。

 7月に予定される、第26回参議院選挙に勝利し、看護職組織代表を国会に送り出すこと。

 日本の看護界のため、国民の健康と暮らしのため、全力で取り組みます。

 この選挙は、医療職(三)表の抜本的改正を目指す「看護職基本給アップ実現選挙」です。看護界を上げて、私たちの底力を見せましょう。

 今回は、医療職(三)表の抜本的改革がなぜ必要かについて、述べてまいります。

 まずは、昨年から具体的に討議が始まった看護職給与アップが確実になされるために、私たち自身が看護職の立ち位置を認識しておきましょう。

 各自が勤務する施設における給与体系は、どのような情報により決められているのでしょう。

 日本看護協会が2012年に行った「病院勤務の看護職の賃金に関する調査」によれば、国家公務員給与医療職俸給表(三)に準拠しているのが26.2%、地方公務員の医療職給料表20.9%で、その他は、近隣病院の相場や賃金表18.6%、コンサルタント会社が提案した賃金表8.5%、地域の医師会による賃金表4.5%、その他21.6%、わからない・何も参考にしていない9%でした。

 半数近くの病院が参考にしている国家・地方公務員俸給表医療職表は、(一)から(三)まであり、(一)が医師、(三)が看護職、(二)がそれ以外の医療従事者のものです。多くの病院では、開設者の種別や公私を問わず、看護職員の賃金制度は、人事院の定める国家公務員の看護職員に適用される医療職俸給表(三)の影響を強く受けています。

 この医療職俸給表(三)では、1~7級【表1】まで定められ、上位の級に昇格しなければ、基本的に年功に応じてなだらかにしか上がりません。看護職の中で管理職になるのは、わずか20%弱で80%以上の人が賃金カーブの緩やかな2級に留め置かれ、役職者になって初めて3級に昇格します。

 また、看護職の初任給は、他職種に比較して高く設定されていますが、30歳台で他職種に抜かされてゆきます。全産業「大卒」の年齢別平均賃金額をみると、20~24歳では4万円程度高いのですが、35歳で逆転され40歳代前半では7万円の開きとなり、この差は、年齢を重ねるごとに広がってゆきます。

 2019年「職種別民間給与実態調査」(人事院)によれば、総看護師長(55歳)で月額、54万円。看護師長(47.9歳)43万円(毎月決まって支給される額と時間外を含む)。

 臨床現場における厳しい労働環境に見合っていない、約70万人いる潜在看護職を生み出す一因と考えざるを得ない現状がここにあります。

 看護職の賃金は、夜勤手当があり、基本給の低さが見落とされています。すべての看護職のベースアップを実施し、国家公務員医療職俸給表(三)を改定することと、そして、看護職の「役割」と「能力」に応じた評価・処遇への賃金体系を、見直してゆく活動を進めてまいりましょう!

 日本看護連盟では、研修のたびごとに「現場の声を聞かせてください」で、会員の皆様の意見、臨床現場の問題を集約しています。そのベスト3は、人手不足、給料の安さ、人員不足です。長年、その問題を認識しながら日々の忙しさに翻弄されてきました。しかし、今、問題を解決するステージが整いました。

 それが、第26回参議院選挙です。「看護職基本給アップ実現選挙」

 私たちは、手に入れるまで諦めない!

 岸田総理提唱の新しい資本主義、「成長」と「分配」をそれぞれの気持ちで実感し、新たな思いをもって芽吹きにふさわしい寅年にいたしましょう。

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