ベッドサイドから政治を変える!日本看護連盟

会長のマンスリーメッセージ

会長マンスリー
2019.02

看護基礎教育、現任教育・研修を巡って

 日本看護協会は、重点政策の一つに「看護師基礎教育の4年制化」を掲げております。専門的な職業人育成のために、教育が重要なことは周知のことです。2017年には、文科省から「看護学モデルコアカリキュラム」が提示され、2018年4月から「看護基礎教育検討会」において「指定規則」の検討が進められております。

 看護師の国家試験受験資格を取得するための課程があまりにも複雑・多様であることは、看護師の質保証、社会的な地位確保の視点からも大きな課題です。1992年の「看護師等の人材確保の促進に関する法律」制定以降、看護大学が急増しているとはいえ、資格取得者に占める大卒者の割合は約35%に過ぎず、65%は3年制以下の専門学校卒業生等です。ちなみに、医師、歯科医師、薬剤師は100%、臨床検査技師は約65%、診療放射線技師は70%以上が大卒者となっております。

 学問としての看護学および職業としての看護職に対するプライドは、基礎教育(養成教育)の課程で醸成されるということを、私自身が受けた看護基礎教育の経験を通して強く認識し、1998年以降、看護教育にかかわらせていただく機会を得て、学生たちが基礎教育修了(卒業)時点で「看護、看護職を選択してよかった」と胸を張っていえる教育を目指して全力投球で取り組んできました。しかし、日本看護協会が、会員を対象に実施した看護職の就労継続に関する意向調査(2017年 「看護職員実態調査」:看護.Vol.70,No.9))で、20~29歳代の会員の42.1%、1.9%が「看護職であるかどうかにはこだわらず、興味や関心の持てる仕事をしたい」「看護職以外の仕事に従事したい」と回答し「看護師として働き続けたい」と回答した看護師は48.9%であったという結果をみて、看護基礎教育の現場にいる者の一人として、この回答結果に危惧を抱いております。職業選択の自由はあるといっても、看護大学や専門学校は職業人を養成することを目的とした目的的教育機関であると認識し、質の高い看護師の育成を目指して学生の教育にあたっております。看護師不足が大きな社会問題になっている折でもあります。教育機関で費やされている資源を無駄にしないためにも、教育内容、教育方法等の改善が必要であることを痛感しております。

 一方、大学等の修了生が、就職先の施設を選択する際の着目点の一つとして研修制度の充実があげられており、各臨床現場での教育・研修の充実も重要です。新人看護師の離職の理由として「専門的な知識・技術が不足している」「医療事故を起こさないか心配」などの知識・技術不足があげられております。

 病院等の医療現場は大きく変化しており、看護学生が基礎教育課程の実習を通して経験できる知識・技術は限られているのが実態です。2009年の「保助看法」および「人確法」の改正によって「努力義務化」された看護職の新人研修を、できるだけ早い時期に「義務化」し、基礎教育と新人研修を連動した教育・研修体制を積極的に進めていくことが必要な時代を迎えていることを強く感じております。教育機関では、講義、学内演習を社会・時代のニースにあった内容となっているかを見直し、臨床教員を積極的に活用できる体制を整えること等に取り組み、臨床現場では、地域医療介護総合確保基金を申請して教育資材(シミュレータ、DVDなど)等の充実を図っていくこと等を早急に進めていくことが必要ではないでしょうか。

 最近、放射線業務にかかわっている看護師、女性医師、女性診療放射線技師さんたちを対象に行った調査から、医療スタッフの放射線に対する不安を解消するための手段として「教育・訓練の充実」が「被ばく線量の測定(個人モニタの装着)」よりも期待されているという実態が明らかとなり、教育・研修((医療法でも規定された)の重要性を改めて認識しているところです。しかし、教育・訓練の受講者は50%以下であるとの結果も得られており魅力的な教育・訓練の内容、方法への改善が求められております。

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