会長のマンスリーメッセージ

会長マンスリー
2018.03

看護職の間でのタスクシフト/タスクシェアリング

 我が国が直面している、少子高齢化に伴う生産人口減少、生産年齢の人々の仕事と育児・介護との両立、生産性の向上などの課題に対応するために、今年の通常国会は「働き方改革国会」であるともいわれ、柔軟な多様な働き方を選択できる社会の実現を目指した審議が与野党間で行われております。
 医療従事者の働き方に関しては「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(厚労省)の報告書が平成29年4月6日に出され、その後、「医師の働き方改革に関する検討会」が8月に発足し、7回の検討会での審議結果が「中間的な論点整理」として、2月27日に公表されました。医師の過酷な長時間労働等を改革していくための、医療スタッフ間のタスクシフト・タスクシェアリングに関する複数の提案がされております。
 医師もさることながら、超過勤務が長い、夜勤の負担が大きい、休暇が取れない、給料が安いといわれ続けている看護職の「働き方改革」に関しても、国のレベルで早急に検討していただくことを、要求し続けていくことが日本看護連盟の役割であると認識しております。
 この度、20年ぶりに看護職の夜勤手当の増額にこぎつけることができ、ご尽力いただいた国会議員の先生方に感謝申しあげます。
 給与、手当て等も含めた就労環境の改善み関する看護界の課題を実現していくためには、現場の声を数値化したデータとして提出していくことが必要です。会員のみなさまには、日本看護連盟が進めているアンケート調査等には積極的に回答いただくようお願いします。
 「人(人材)」「時間(労働時間は2000時間/年)」「金(財源)」が限られた状況下において、看護職の「働き方改革」の要望をしていく場合には、私たちができること、しなければいけないことを念頭に入れたお願いをしていかなければ、実現までにこぎつけるのは容易ではないと思っています。
 医療職種間のタスクシフト、タスクシェアリングについては、保助看法の改正に伴う「特定行為に係る看護師の研修制度」、介護福祉士法改正に伴う「介護福祉士による経管栄養、痰の吸引」などがすでに法制化されており、今回の「医師の働き方改革に関する検討会」の中間報告を受けて今後さらに進んでいくものと思われます。
 そこで、看護職の間でのタスクシフト、タスクシェアリングを、制度的な仕組みとしていくことを看護界が中心となって真剣に検討する時期ではないかと思っています。安全を担保したうえで「看護補助者」を有効に活用していく制度的な仕組みつくりがその一案ではないでしょうか。「看護補助者」については、医療法21条、医療法施行規則19条に、人員配置の基準として「看護補助者」の記述はありますが、業務は規定されておりません(医療法は業務法・身分法ではないので当然ですが)。一方、診療報酬上は、看護補助者は「看護師長及び看護職員の指導の下に、原則として療養生活上の世話(食事、清潔、排泄、入浴、移動等)のほか、病室内の環境整備、ベッドメーキング、看護用品及び消耗品の整理整頓等の業務を行うこととする。」とされております。診療報酬上の加算がつけられたこと等により、看護補助者の数が増加しているにも拘わらず「看護補助者」の業務が法令上(通知も含め)明確にされておらず、看護職員(看護師、准看護師)との業務分担が十分にできていないのが現状です。診療報酬上は、療養生活上の世話もでき、患者さんたちと直接対面してケアを提供できるわけですから、当然、適切な養成教育を受ける必要もあるはずです。看護師が、看護の専門性を発揮し、看護職としての本来の仕事をやりがいをもって、遂行していくためには、看護職の間での業務分担を制度上、明確し、看護業務の階層化を図っていく必要があるのではないかと思っています。「看護補助者」が関係するインシデント、アクシデントが発生する前にしっかり看護界としての制度的な仕組みづくりをしていく必要があると思います。
 就労環境が過酷であることは看護師も医師と同じですが「看護師の働き方改革検討委員会」が設置されないのはなぜでしょう。

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