会長のマンスリーメッセージ

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2018.10

女性の放射線診療従事者に対する被ばく線量の上限値(線量限度)に関するアンケート調査の報告

平成30年1月28日~2月10日に日本看護連盟の会員のみなさまにご協力いただき実施しましたアンケート調査の結果、およびその取り扱いについてご報告させていただきます。急なしかも短期間の調査にもかかわらず会員のみなさまにご協力いただきました。改めて感謝申しあげます。

日本の放射線防護関連法令(医療法、電離放射線障害防止法、放射線障害防止法など)は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を尊重して制定されております。現在、放射線審議会において、ICRP2003年勧告を取り入れた見直し作業が行われており、中間報告(2011年)では、現行法令(ICRP1990年勧告に基づく)に定められている「女性に対する特別な線量限度は必要ない」とされております。

ICRP1990年勧告を、日本の放射線防護関連法令に取り入れる際に、妊娠に気づかない時期の女性作業者も胎児を防護する視点から安心して放射線業務に従事していただくために、看護職を対象にした調査結果などを参考にして日本独自の基準として「女性に対する限度(5 mSv/3月)」を取り入れた経緯があります。

 今回の改正にあたり、女性が大部分を占める現場で働く看護職のみなさまの意見を反映させていただく必要があると判断し、急遽、アンケートを実施させていただきました。

 短期間にもかかわらず、3082名の会員(放射線診療業務にかかわっている看護師)のみなさまから回答をいただき、以下の結果が得られました。

・女性作業者に対する被ばくの上限値の必要性について

  ①必要である:88%、②必要なし:4%、③分からない:8%

・女性に対する放射線被ばくに関する上限があることにより安心するか、否かについて

  ①安心する:86%、②分からない:14%

 この結果を基に平成30年2月16日付けで、放射線審議会の事務局を担当している原子力規制庁へ要望書「妊娠可能年齢の女性作業者に対する実効線量限度」の必要性(要望)を提出しました。

 私たち、看護職は、自らの安心。安全を担保する仕組を確保するためにも、今後の放射線防護関連法令の動向をしっかり見守っていく必要があります。

 ちなみに、妊娠した女性作業者の線量限度(上限値)は「2mSv/妊娠期間」と定められ、胎児の防護が図られております。男性作業者に対する線量限度は「100mSv/5年間および50mSv/ 年」とされています。5mSv/3月は、100mSv/5年間を短期間毎に均等に除した数値で、この限度の存在が、女性作業者の業務を制限することにはならないと考えております。

 医療領域では、医療従事者に放射線皮膚障害が発生し、労災補償の認定がされるという事例も発生しております(平成29年11月)。医療現場の、放射線防護・安全に関心を持ち、看護職自身の安心・安全の確保にもっと関心を持つ必要があるのではないでしょうか。

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