会長のマンスリーメッセージ

会長マンスリー
2018.07

看護基礎教育の多様化 専門職大学を巡って

 医療が高度化し、患者さんたちのニーズも多様化する中で、専門性の高い実践力が求められる看護師の基礎教育(養成課程教育)の充実を図っていくことが重要であり、日本看護協会は「看護基礎教育の4年制化」を重点事業の一つとして取り上げ、さまざまな活動を行っております。

 このような中で、2017年「学校教育法」が改正され、専門職大学の制度が創設されました。2019年4月の制度の施行にあわせ、看護に関する専門職大学が、4校誕生することになりそうです(申請中)。

 看護師の基礎教育課程(国家試験受験資格取得課程)がさらに多様化していく動向を、安全・安心な看護を提供が求められる看護師の質保証の視点から、看護界をあげて見守っていく必要があると思っております。

 看護師の基礎教育に関しては、平成4年(1992年)の「看護師等の人材確保の促進に関する法律」制定以降、看護系大学の数が急激に増加(2018年4月で277課程)したにも拘わらず、看護師の国家試験の受験資格取得課程は、長年、専修学校のままでした。平成21年(2009年)の「保健師助産師看護師法」の改正により、看護師の国家試験の受験資格取得課程の一つに初めて学校教育法の1条校(大学)が明記され、制度的に医師、歯科医師、薬剤師と同じ高等教育に位置づけられたことを、大変嬉しく思ったことがつい先日のように思い出されます。ちなみに、専修学校(専門学校)は、学校教育法上は、第124条に規定される各種学校に位置づけられており、1条校には該当しないとされております。

 専門職大学は、制度上、学校教育法1条の大学の種類の一つに位置づけられること(1条校)になりますが、より実践的な職業教育に重点がおかれており、卒業単位の30~40%程度以上が実習等の科目となり、必要な専任教員数の40%以上は実務家教員とされております。

 看護基礎教育をはじめとした医療関係の養成教育(基礎教育)は、医療の受け手にとっても、提供側(医療スタッフ)にとっても安全・安心の下で、社会の期待、時代のニーズに応えられる専門性・人間性の高い職業人を育てることが共通目標です。それにも拘わらず、4年間の看護師基礎教育課程一つをみても、①大学(「学士」)、②専門職大学(「学士(専門職)」)、③専修学校(専門士)と3種類存在することになります。専修学校も2年制、3年制、4年制等が存在し多様化という点では同様です。共通目標の下で養成すべき基礎教育課程の多様化が、何故、必要であるかについての議論が看護界の中で十分に行われないままに教育課程がキメラ状態になっていくことに対して不安を感じます。今国会において「働き方改革法」が制定され、ワーク・ライフ・バランスを含め看護職の働き方の多様化が進むことは歓迎すべきことですが、基礎教育の多様化は「専門職」としての地位の確保等の視点からも慎重に取り組んでいく必要があると思っております。

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