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2017.10

看護師による「死亡の確認」「死亡診断書の代筆」

 平成29年9月12日付けで、厚生労働省医政局長から「情報通信機器(ICT)を利用した死亡等のガイドライン」が発出され、平成30年度の概算要求には、看護師を対象とした「法医学研修」に係る予算が計上され、看護師による「死亡の確認」「死亡診断書の代筆」が可能になり、遠隔地域での死亡診断の体制が整備されることとなった。

 医師法では、24時間以内に診察した場合を除き、医師自からが対面で診察することなく死亡診断書を交付することが禁じられている。死亡診断書が交付されないと、火葬等を含めた手続きを行うことができないために「医師による死亡診断が行われるまでに、かなりの時間を要する」(私どもの行った調査では死亡診断のために医師が到着するまでの時間は、30分から1日半に分布していた)こと、「死亡診断のために医療機関に搬送する目的で救急車が利用されている」ことなどの実態が問題になっていた。

 ガイドラインでは、①医師による診察の経過から、早晩死亡することが予測されていること、②医師と看護師の連携がとれており、ICTを利用した死亡診断に関する患者や家族の同意書があること、③医師による速やかな対面での死後診察が困難であること(医師が対面での死後診断を行うまでに12時間以上を要する)、④法医学に関する一定の教育(法医学に関する講義・実地研修、看護に関する講義・演習)を受けた看護師が、死亡の判断に必要な情報を医師に速やかに報告できること、⑤ICTを活用して、医師が患者の状況を把握し、死亡の確認や異状がないと判断できることの5つのすべての要件が満たされた場合に、医師の対面での死後診断によらずに、死亡診断を行い、看護師が死亡診断書の代筆、交付ができるとされている。

 さらに、法医学に関する教育の対象となる看護師の要件として、5年以上の実務経験とその間に3例以上の患者の死亡に立ち会った経験があり、かつ実務経験のうち、訪問看護または介護保険施設において3年以上の実務経験を有し、その間に5名の患者のターミナルケアを行った看護師とされている。

 超高齢社会を迎え、今後、死亡者数の増加が見込まれるなかで、地域住民が安心できる「地域完結型医療」を推進していく上での課題であった在宅での看取りをスムーズに行っていくための一つの道筋が開かれた。ただし、訪問看護ステーションで就労している看護師が2.7%(約38000人)にすぎない現状を考えると、法医学研修の対象となる看護師の要件に、特定行為に係る研修を修了した看護師(厚労省は2025年までに10万人以上にすることを目標にしている)等の経験も含めていくことが必要ではないかと思われる。

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