会長のマンスリーメッセージ

会長マンスリー
2017.09

看護領域における人工知能(AI)の開発への期待

AI(Artificial Intelligence : 人工知能)は、推論、認識、判断等の人間の知能を人工的にコンピュータに持たせたシステムのことで、ロボットとして具現化されている。ロボットといえば「ドローン」「レジロボ」「掃除用ロボット」等を連想する人が多いのではないかと思われる。医療・介護領域のAI(人工知能:ロボット)技術の開発も日進月歩で進められている。特に介護の領域のロボット開発については、2012年(2014年に改訂)に、経済産業省と厚生労働省から「ロボット技術の介護利用における重点分野」として、①移乗介助(装着型・非装着型)、②移動支援(屋外、屋内)、③排泄支援、④認知症の方の見守り(施設・在宅)、⑤入浴支援の5つの分野が提示されたことにより、介護ロボットの技術開発が積極的に行われ、実用化されつつある。  また、医療領域では、意思決定支援システムとしての「ワトソン」や、手術支援ロボット「ダビンチ」が導入され、診療の補助的役割を果たしている。  このような中で、医療等を必要とする人々の最も身近で、最も長時間、見守っていく看護職にとって、AI技術の導入にもっと積極的に自らが関わっていく必要があることを痛切に感じている。  看護ケア用ロボットには、①看護職にできないことを実行する、②看護職の看護技術等を補完し協働して実行することを期待し導入によるベネフィットとリスクを熟考し、ますます高度化・専門化が求められている看護の中で、医療安全を担保し、対象者の満足度を高め、看護職の身体的・精神的負担を軽減していくロボット開発に看護職自身が、もっと積極的に係っていかなければならないと思っている。  人に代わってさまざまな行為を半ば自律的に行うロボットに対して「心」を大切にしてきた看護職の中には「冷たい」印象を対象者に与えるのではないかとの懸念を持つ方々が少なくないと思われる。認知症の方々に受け入れやすいように開発されたアザラシ型のロボット「パロ」は、認知症の人々等に受け入れられている。  「シミュレータ」についても同様な状況ではないかと思う。医学教育の中では時代のニーズに対応できる医師を養成するためのシミュレータが次々と開発されているが、看護教育に用いられているシミュレータは、旧態依然のものが多いように思われる。看護職の基礎的知識・技術であるフィジカルアセスメント用のシミュレータや、経鼻吸引のためのシミュレータ等の開発・導入について、教育関係者と臨床現場が連携・協働して看護職自らが積極的に取り組んでいかなければ、この分野でも医学・介護に遅れをとることが懸念される。  今「看護のこころ」を十分考慮したAI開発に、看護職自らが関心を持ち、アイディアを提供し、積極的に取り組んでいくことが、質の高い看護を提供することにつながる。一方、「心」は、看護職に特化したことではなくすべての医療職・介護職に求められる姿勢であることは今更いうまでもない。

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